大和屋履物店のリニューアルについて

みなさま、こんにちは!大和屋履物店五代目の船曵です。
令和3年5月1日に大和屋履物店はリニューアルオープンを迎えることができました。
オープン初日から今日に至るまで、初めて大和屋に来るお客様、ずっと大和屋をご贔屓にしてくださっているお客様…たくさんのお客様にお越しいただきました。
こころから感謝申し上げます。
本日は、大和屋履物店改装に至った経緯とともに大和屋履物店のこだわりを皆様にお伝えしたく思います。
どうぞ、最後までお付き合い願います。

五代目になると決めた日

実は、今回のリニューアルオープンは約一年半計画のプロジェクトでした。
発端は、2019年12月。まだ、遅くまでお酒を飲むことができたころのこと。
四代目と五代目夫婦と小倉染色図案工房、小倉充子の忘年会での普段の会話からでした。
※大和屋履物店は作家、小倉充子の実家です

ワインを片手に牛タンを食べながら、いつも通り大和屋で起きる珍事件について談笑していました。
『…ヤス子おばあちゃんが白髪の紳士に騙されそうになった…』
『大和屋にハトが入ってきて、それをマジックハンドでヤス子が捕まえた…』
興味を持たずにはいられない話が耳に入ってくる、そのような中いつのまにか将来の大和屋について話が展開していたのです。

「やりたいことはあるけど…なかなか私たちだけでは…」

そんな言葉を聞いた私は「私でよければやらせてください!」とお酒の勢いも借りてお伝えしました。
仕事も順調、何も不満はないサラリーマン生活からすこし刺激を求めていたところでした。

そこから、私たちの「大和屋リニューアル計画」はスタートし、度重なる打ち合わせを重ねて今に至ったわけでございます。

リニューアルにかけた想い

リニューアルに当たっては、全員の想いを一つにすることに一番時間をかけました。
逆に、それさえはっきりと決まってしまえば、そのあとの細かいことを決めるのは迷いなく進められると思ったからです。

プロジェクト全体の約半分を使い、三代目と四代目、作り手の充子さんの目的地(ゴール)をヒアリングしました。
全員共通の目的地をしっかりと言語化し、そこへ行くためのシナリオと道筋を作るのが私の仕事だからです。

三代目「下駄屋を下駄屋として残して欲しい」
四代目「神保町を知るきっかけになるようなお店にしたい」
作り手「残すべきものを次の世代に残す、そこに貢献できるお店にしたい」
全員「楽しい人が集まるお店にしたい」

このような想いをまとめて「文化を継なぐ店」が私たちの目指すお店となりました。

大和屋履物店が取り扱う商品について

大和屋に来るお客様がどうすれば楽しんでいただけるのか…いわば、ワクワクするお店になるのか。
私たちは「品揃えのワクワク」ではなく、「大和屋だからこそのワクワク」をお客様にお届けすることにいたしました。

和の履物、下駄・草履・雪駄…
ひとくくりにするとシンプルに感じますが、形・素材はさまざまで、これに花緒のバリエーションも含めるとその組み合わせは無限大となります。

たくさんの種類から選べることも魅力の一つですが、大和屋履物店では厳選した商品をお届けいたします。そして、その商品は大和屋だからこそ取り扱うことができるものだと自信を持っています。

お客様に知っていただきたい。そして、次の世代にも残していきたい。
そんな商品を日本全国から見つけ出し、お客様のもとにお届けいたします。
「文化を継なぐ店」の思いがここにも込められています。

今後の大和屋履物店について

新しい大和屋履物店のスペースの半分は作り手の方々に貸し出しができるように設計されています。

「お客様が新しい作り手の手仕事に出会う場所に…」
「作り手の方々がすばらしい作品を広めるきっかけに…」

大和屋をそんなお店にしたいと思っています。

日頃は小倉染色図案工房の作品を中心に並べているスペースですが、さっそく、2021年5月14日(金)からは新生大和屋での初めての企画展「大和屋でゆかた展」がはじまります。

小倉染色図案工房、工房カモ、新江戸染丸久商店。
それぞれ個性の全く違った浴衣が並びます。

今後も皆様が”ワクワクする”そんな企画展を開催予定です。
どうぞ今後も大和屋履物店をよろしくお願いいたします。