注染手ぬぐい「下駄と酒の日々」 -こころや 名倉克典-

小倉染色図案工房の小倉です。

こころや 名倉克典さんのご紹介です。
こころやさんは、明治19年創業、大阪粉浜の住吉大社参道の商店街にある呉服屋さんです。
五代目店主の名倉さんは、武蔵美のデザイン科を卒業後、インテリアデザイナーを経て
2001年に実家の家業を継がれました。
2019年には店舗をリニューアルし、様々なイベントも立ち上げられています。

名倉さんとは、スタジオクゥさんを介して出会い、
すぐに意気投合、呑んだり食べたり呑んだり、公私共に長いことお世話になっております。
上方の着物好きの方々と交流が持てたのも、こころやさんのおかげです。

こころやさんが素晴らしいのは、今では本当に少なくなってしまった、「町の呉服屋さん」であるところです。
呉服屋さんって怖いところじゃないんだよ、というのを教えてくれます。

買い物のついでに寄って季節ごとに変わる商品をひやかしたり、
大きなことから小さなことまで、あらゆる着物の悩み相談に乗ってもらったり、
お見立てしてもらってたまには奮発しちゃったり、
そんな日常生活の中にある愉しい「呉服屋さん」なのです。

そして最近では噂が人づてに広がり、いつの間にか日本中の着物好きにとっての「みんなの町の呉服屋さん」となっているように感じます。

しかし実は名倉さん、デザイナーよりも呉服屋家業よりも進みたい道がありました。
大好きな三度の飯よりさらに好きな芸の道です。
文楽、歌舞伎、落語、、、、、
物心ついた頃にはもう、桜丸の段を唸っていたとかいないとか。
紆余曲折、無事天職である呉服屋店主におさまったわけですが(よかった)、
心はおさまらず。
定期的に文楽鑑賞会を主催したり、お店で落語会や素浄瑠璃の会を開いたり、
芸人さんのお着物を誂えたり、
呉服屋店主として、芸道を脇からしっかりと支えておられるのです。

さて、手ぬぐいの話です。
そもそも、注ぎ染めの発祥は大阪と言われております。
こころや さんでは「大阪手ぬぐい」というオリジナルブランドで注染手ぬぐいを製作し、企業コラボや別誂の注文も請けられています。
デザイナーでもあった名倉さんが企画立案、図案を描き、
粉浜のお店の他、道頓堀やなんばグランド花月、天満天神繁昌亭、関西国際空港などでも販売されているのです。
義太夫節、たこ焼き、通天閣など、大阪らしいウエットに飛んだ柄がたくさんあります。

そんな注染手ぬぐいのプロに、江戸の大和屋をテーマに手ぬぐい制作をお願いするという無茶振りをしたところ、なんとデザイン2種、配色各3種も提案してくれたのです!
上方らしい柔らかな配色にもとても惹かれ、何日も悩みましたが、
阪急電車の色、というのがなんともかわいらしく、この色柄を選ばせていただきました。
大和屋で飄々と吹く浪花の風を感じてもらえることと思います。
こころやさん、どうやら8月のどこかで、新装大和屋をひやかしに来てくれるとのこと!
(本当の目的はあの店に呑みに行くことだということはわかっている)
せっかくなので、出張こころやとして、なにかお願いしたいとひそかに企み中です。

それにしても、「下駄と酒の日々」って、、、、、、どんな日々やねんっ!

「下駄と酒の日々」
界隈の美味しいお店に連れてってもらって、素敵な人と楽しいお酒の日々にすっかり神保町にハマってしまいました。なのでやっぱりお銚子を。

この下駄は、大和屋で初めて見て江戸のフォルムのカッコ良さに惚れて大好きになった「胡麻竹真角」なんです。

五代目の時代になっても下駄がたくさん売れるようにたくさん並べて、5の隠し文字を入れてます、わかりますか?

色は阪急電車の色で大阪っぽく、図案は、出展のみなさんの持ち味を考えたらきっと凝ったのが出るような気がしたので、店にずらりと並べた時、バラエティあふれる感じを出したくて敢えてシンプルに。

呉服屋の手ぬぐいなのでコーデ重視で、畳んでバックに入れてる時も、お膝の上に置いても、懐にいれても、ポイントになればいいなと。

こころや 名倉克典

■こころや インスタ
@cocoroya
■阪急うめだ本店11階出店
2021/7/7〜7/13