注染手ぬぐい「すいえい」-綿貫　彩-

2021.07.07

小倉染色図案工房の小倉です。

今回、大和屋手ぬぐい祭りでは、注染手ぬぐいの世界とは全く違うジャンルで活躍されている工芸作家さんにもデザインをお願いしました。
その中のおひとり、若き陶芸家の綿貫彩さんをご紹介いたします。

東京出身の綿貫さんは東北芸術工科大学で陶芸を専攻、現在は神奈川県相模原市で作陶の日々を送られています。

綿貫作品との出会いは、スイマーでした。
ビート板を持って仰向けに泳ぐかわいいスイマーの箸置き。
何十個と並んでいたのですが、どれ一つ同じ子はいなくて、
その全体の姿がそれで一つの作品のようでした。

そのうちに箸置きには、体操服を着た子や、よく見るとビート板でなくおにぎりや猫や壺？まで持っている子がいて、そうかと思うと絵付けされ平皿を泳いでいるスイマーたちもいる事を知りました。
更には、あまがっぱちゃん箸置き、体育座りの蓋物、猫を抱いたオブジェなんていう、めくるめく綿貫ワールドが静かに繰り広げられているのでした。

そして、一切絵付けのされていない器も作られているのですが、
その形にも色にもスイマー同様、綿貫彩の絶対的な空気感があるのを感じました。

今回の依頼をするときに、綿貫さんはきっと何を作ってもその空気感が出るに違いない、
手ぬぐいでそれを見てみたいと、うっとり思っていました。
絵の描ける方ですので、まずはできるだけ自由に描いてもらって、
丸久さんにどんな染め方、型の作り方をすれば良いか相談し、
かなり原画のイメージに近い染め上がりになったのではないかと思います。

大和屋ビート板も泳がせてもらい、綿貫ワールド手ぬぐいが出来上がりました。