32歳になり思うこと
台風のチャンパーが南の海上で発生したようです。
週末はイベントなので、チャンパーちゃんにはご来日いただきたくありません。
そう願っている五代目の船曵です。
そんな私ですが…
ありがたいことに本日、6月23日に32歳の誕生日を迎えました。
32歳は人生の大きな転換期の中で迎えることになりました。
縁あって歴史のある下駄屋の後継ぎを任かせてもらい、そしてそのスタートの真っ最中で迎えた32歳です。
「行動力の有る無能=迷惑なやつ」
こんな言葉を自分に言い聞かせて自己研鑽を積み重ね、少しでも貢献できるように日々楽しく働かせていただいています。
「下駄っていつ履くのですか?」
この1ヶ月の間、このような質問を非常にたくさんの方からいただきました。
私はこの質問に
「ぜひ、履きたいときに履いてください!」
と回答しております。
歴史ある履物屋の店主として、すごく邪道な答えなのかもしれません。
もちろん、草履と下駄には”格”の違いがあるだとか…
下駄は、夏はいいけど冬にはちょっととか…
時には「下駄の存在価値はなんでしょうか?」と聞かれたこともありました。
このように下駄を履くべきタイミング・常識については諸説あり、本来ならばそれをお伝えすべきなのかもしれません。
※和の履物のTPOについては丸屋さんが非常に詳しくまとめてくださっています。どうぞご参照ください。
そのような中で私が「履きたい時に履く」という回答をするには明確な理由があります。
それは、私がある花緒作家さんとお話ししていた際に、「下駄をファッションの一部として取り入れてほしい。」「もっと若い世代の方にも履いてほしい。」という想いを耳にしたからです。
この想いには私自身も非常に強く共感しています。
もしも、日本の古くから伝わる文化である下駄を現在のファッションに取り入れることができたのならば、私にとってこれ以上にうれしいことはありません。
しかし、仮に販売するお店が過去の常識やルールに縛られて、その商品の用途を勝手に限定してしまうと、お客さまに届く前に今を生きる職人さん・作家さんの想いは遮断されてしまいます。
つまり、「下駄はこういうときに履くべきものだ!」という固定観念が時に作り手の夢を制限してしまうことがあると考えています。
それを私は防ぎたい。
作り手のみなさんの想いをそのままお客さまに届ける。そんなお店にしたい。
これらのことを念頭に置いてお店運営を考えています。
これが以前記事にも書かせていただいた「文化を継なぐ店」の体現だとそう思っています。
一方で、お客さまが”なぜ下駄を必要としているのか”をしっかりとヒアリングさせていただいています。
例えば、お客さまが結婚式に下駄を履いていこうとしていたら…私はそれを止めるかもしれません。
このようなパラドックスの中、お客さまと作り手さまをつないでいく仕事に私のエネルギーを注がせていただいております。
変わらずに残るためには、変わらなければならない。
ルキノ・ヴィスコンティ Luchino Visconti di Modrone
下駄という文化を残すために、変化に立ち向かうそんな毎日にしたいとおもっています。
五代目からのご提案
「履きたい時に履く」のご提案です。
意外にも下駄とデニムはファッションとして抜群に合うと思っています!
サンダルの代わりに下駄や雪駄を履くことでとっても涼しげに見えます。
この夏のファッションの一部として下駄や雪駄、そして足袋ソックスを履いてみるのはいかがでしょうか。
大和屋ならば、自分だけの下駄をセミオーダーで作ることが可能です。
大和屋履物店
船曵 竜平